フィンランド発祥の伝統的な習慣であるサウナは、近年その健康効果が世界中で注目を集めています。最近の研究では、サウナが心の健康にも良い影響を与えることがわかってきました。この記事では、複数の研究結果をもとに、サウナが精神疾患に与える効果について見ていきます。
サウナのうれしい効果
- 気分の向上と不安の軽減: 研究によると、サウナには気分を改善し、不安を和らげる効果があることがわかっています。サウナ後には、気分や不安の度合いを測る指標の数値が有意に良くなったという報告もあります (1, 2)。 ([POMS]プロファイル・オブ・ムード・ステイツ, [STAI]状態-特性不安検査表のような心理検査が用いられました)
- 精神病リスクの低下: 頻繁にサウナを利用する人は、精神病にかかるリスクが低いことが示されています。週に4~7回サウナに入った男性は、週に1回サウナに入った男性と比べて、精神病になる危険性が大幅に減少していました (3, 4)。
- 認知症やアルツハイマー病のリスク低下: 定期的なサウナ習慣は、認知症やアルツハイマー病のリスクを下げるのに役立つようです。週に4~7回サウナに入った男性は、サウナを利用頻度の低い男性と比べて、これらの脳神経系疾患のリスクが明らかに低かったのです (4, 5).
- 精神的ウェルビーイングの向上: サウナは、全体的な精神的健康と生活の質を高める効果があると言われています。世界的な調査では、参加者の多くがサウナの主なメリットとして、リラックス、ストレス軽減、睡眠の改善を挙げていました (4, 6).
サウナの効果のしくみ
サウナが心と体に良い影響を与える理由は、いくつか考えられます。例えば、サウナ浴には心血管機能の改善、ヒートショックプロテインと呼ばれるタンパク質の産生促進、自律神経系の調節などが期待できることが研究で示唆されています (4, 7, 8).
まとめ
これまでの研究結果を総合すると、定期的なサウナ浴は精神衛生に大きなプラスの効果をもたらす可能性が示唆されています。気分が向上し、不安が和らぎ、精神病や認知症、アルツハイマー病のリスクも低下するのです。こうしたメリットは、心血管系の改善やストレス反応の調節といった身体的なメカニズムを通して得られると考えられます。サウナは、精神的健康を増進させ、精神疾患の予防にも役立つ期待できる補助療法と言えるでしょう。
参考文献
7. Laukkanen JA, Laukkanen T, Kunutsor SK. Cardiovascular and other health benefits of sauna bathing: A review of the evidence. Mayo Clin Proc. 2018 Aug;93(8):1111–21.8. Sobczyk M, Oleksa P, Wójcik P, Żuraw D, Rogowska M, Słaboń M. Positive and negative aspects of sauna bathing – current knowledge status. J Educ Health Sport. 2021 Sep 23;11(9):497–503.
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