夜勤は社会を支える仕事のひとつですが、生活リズムを乱し、健康に悪影響を及ぼすことも事実。夜勤勤務者にとって、この過酷な環境に耐える力は心身ともに大きな負担となります。だからこそ、夜勤耐性を高めることは、健康を維持し、仕事のパフォーマンスを上げるために欠かせません。今回は、最新の研究成果をもとに、夜勤耐性を向上させるための様々な戦略とポイントをご紹介します。
夜勤に向いている人とは?
実は、希望して夜勤を選ぶ人の方が、そうでない人に比べて夜勤耐性が高いということがわかっています (1)。夜勤は自分にとって合う働き方かどうか、あらためて考えてみるのも良いかもしれませんね。
性格や柔軟性が鍵に!
研究によると、性格面では 忍耐力や柔軟性が高い人ほど夜勤耐性が高い傾向にあります (2-4)。逆に、ネガティブで諦めやすい人は夜勤に苦労しがちです。また、不安への対処能力も夜勤耐性に影響します。特に夜勤中は不安が強く出やすいので、普段から上手にコントロールする方法を身につけておくことが大切です (3)。
朝型・夜型に合わせて工夫を
生まれ持った「朝型・夜型」という特性も、夜勤耐性に関係しています。朝型の人は、特に夜勤勤務を始めたばかりの頃は比較的順応しやすいと言われています (2, 5)。一方、夜型の人は睡眠の質や量に影響を受けやすく、夜勤耐性が低下しがちです (5)。
光療法で体内時計をリセット
夜勤と普段の生活リズムのギャップを埋めるのに役立つのが光療法です。一定の時間に明るい光を浴びることで、体内時計をリセットし、夜勤中でも血圧や血糖値のコントロールを改善することができます (6)。また、夜勤中は明るい光を浴びつつ、出勤外はサングラスをかけるなどして光を遮り、決まった時間に暗闇の中で睡眠をとることで、気分の向上や疲労軽減、パフォーマンスのアップが期待できます (7)。
睡眠習慣の改善でパフォーマンスアップ
夜勤と上手に付き合っていくためには、 睡眠習慣の柔軟性 も欠かせません。日中眠気を感じても、ある程度克服できる力があれば、夜勤生活にも適応しやすくなります (8)。また、夜勤は特に睡眠不足になりやすく、健康被害も報告されています。そのため、なるべく個々の体内時計に合わせたシフトスケジュールを組むことが望ましいです (5)。
トータルでのアプローチが大切
夜勤耐性を高めるためには、単発的な対策ではなく、総合的なアプローチが必要です。例えば、希望制の夜勤を選ぶ、性格面での強みを活かす、光療法を取り入れる、シフト制を柔軟にするなど、様々な方法を組み合わせて取り組むのが効果的です (9)。夜勤による体内時計の乱れと、日常生活とのギャップを埋めることが、夜勤耐性を向上させるポイントとなります。
まとめ
夜勤耐性を高めるためには、希望制の夜勤を選ぶ、忍耐力や柔軟性を活かす、光療法を取り入れる、柔軟なシフト制を採用するなど、様々な方法が考えられます。個々の体内時計に合わせたシフトスケジュールを組んだり、効果的な対処法を身につけるためのサポートを行うことで、夜勤勤務者の健康とパフォーマンスを飛躍的に向上させることが可能です。
参考文献
3. Tamagawa R, Lobb B, Booth R. Tolerance of shift work. Appl Ergon. 2007 Sep;38(5):635–42.
8. Costa G, Lievore F, Casaletti G, Gaffuri E, Folkard S. Circadian characteristics influencing interindividual differences in tolerance and adjustment to shiftwork. Ergonomics. 1989 Apr;32(4):373–85.9. Kogi K. Improving shift workers’ health and tolerance to shiftwork: recent advances. Appl Ergon. 1996 Feb;27(1):5–8.
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