忙しい毎日を送る中で、日中の眠気に襲われることは誰しもあるでしょう。そんな時、コーヒーを飲んだりデスクで仮眠をとったりする方も多いかもしれません。しかし、ただ何となく眠るよりも、効果的な方法で昼寝をとることで、実は大きな健康効果が得られるのです。これが近年注目されている「パワーナップ」と呼ばれる手法です。
パワーナップとは、日中に短時間だけとる睡眠のこと。今回は、このパワーナップが私たちの身体や脳にどのような影響を与え、どんな健康効果をもたらすのかについて見ていきます。
主なポイント
- 身体能力と認知機能の向上 研究によると、パワーナップはアスリートや活動的な人にとって、短時間の身体能力向上、持久力、特定スキルの向上、反応時間、注意機能、短期記憶の改善に効果があることがわかっています。(1, 2) また、カフェインやプラセボと比較しても、言葉の記憶の引き出し、手続き運動技能、知覚学習の向上が見られました。(3)
- ストレス軽減と免疫機能強化 パワーナップは、睡眠不足によって上昇しがちな神経内分泌系によるストレスや、インターロイキン-6やノルアドレナリンなどの免疫バイオマーカーの数値を正常化させる働きがあります。(4) つまり、睡眠不足による悪影響を和らげることで、ストレスや免疫反応を改善する可能性があり、公共の健康維持にも役立つツールとなり得るのです。(5)
- 記憶と学習の補助 パワーナップは記憶の定着を助け、さらには今後の学習の準備を整えるだけでなく、実行機能や感情の安定性にも良い影響を与えます。(6, 7) 習慣的に昼寝をとる人は、そうでない人に比べて記憶の定着がより効果的に行われていることが示されており、睡眠中の紡錘波密度などの特定の要素がパフォーマンス向上と関連していることもわかっています。(2)
- 疲労回復と総合的な健康状態の改善 パワーナップは疲労軽減、集中力向上、作業効率の改善、そして総合的な健康状態の向上に役立ちます。特に、交代勤務制の方や不規則な睡眠スケジュールを強いられる方など、慢性的な睡眠不足を抱えている方にとって効果的です。(8) また、運動とパワーナップを組み合わせると、どちらか一方で行うよりも記憶の認識力が向上することが研究で明らかになっています。(7)
まとめ
パワーナップには、身体能力と認知機能の向上、ストレス軽減、免疫機能強化、記憶の定着改善など、幅広い健康効果が期待できます。特に、睡眠不足による悪影響を緩和するのに効果的で、日々のパフォーマンス向上や長期的な健康維持に大きく貢献します。規則正しいパワーナップを取り入れることで、日々の生活の質を高めてみませんか。
文献
7. Mograss M, Crosetta M, Abi-Jaoude J, Frolova E, Robertson EM, Pepin V, et al. Exercising before a nap benefits memory better than napping or exercising alone. Sleep. 2020 Sep 14;43(9).8. Milner CE, Cote KA. Benefits of napping in healthy adults: impact of nap length, time of day, age, and experience with napping. J Sleep Res. 2009 Jun;18(2):272–81.
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